定年・退職のお金/老後の生活費と家計管理

地方の生活は、意外とお金がかかる?

定年までカウントダウンが始まると、なかには「生活費の安い地方で生活しよう」などと考え、地方移住を真剣に考える人もいます。でも、地方ってどのくらい生活費が安くなるのでしょうか。実際のデータを用いて考えてみます。

鈴木 雅光

執筆者:鈴木 雅光

投資信託ガイド

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「地方は物価が安い」は本当か

定年後どこに住む?

定年後どこに住む?

東京や名古屋、大阪などの大都市圏に住んでいる人にとって、地方は物価が安いというイメージがあると思います。

で、定年後の生活をどうしようかと考えている中高年は、「年金だけで生活するのは大変だし、いっそのこと生活費が安い地方に移住した方が、お金が掛からないので豊かな生活が出来るのではないか」と考えるわけです。

でも、大都市圏に比べて地方は生活費が安いというのは、本当なのでしょうか。
ちょっと調べてみました。出典は、総務省が発表している「小売物価統計調査」です。この調査は、都道府県別に物価水準の差を示しているもので、たとえば都道府県別消費者物価地域差指数をみると、確かに東京都や神奈川県は、他の地域に比べて物価が高いのは事実です。

地方の物価は割高

では、個別に物価の差を比較すると、どうでしょうか。小売物価統計調査では、10大費目別指数というのがあり、全国平均を100とした場合、10の費目ごとに最も物価の高い都道府県、最も低い都道府県の指数が表示されています。ちなみに10大費目とは、「食料」、「住居」、「光熱・水道」、「家具・家事用品」、「被服及び履物」、「保険医療」、「交通・通信」、「教育」、「教養娯楽」、「諸雑費」です。
それぞれについて最も指数が高い都道府県を見ると、東京は5項目についてトップでした。数字を見ると、

食料・・・・・・103.7
住居・・・・・・132.8
交通・通信・・・・・・103.9
教育・・・・・・114.5
教養娯楽・・・・・・104.5

となっています。まあ、住居については言わずもがな、というところでしょう。何しろ東京都内の地価は、全国的に見ても突出していますから。もちろん、それ以外の4項目についても高いのは事実ですが、60歳にもなれば、子供の教育からはほぼ解放されるので、確かに114.5と高いのですが、ここは考えなくても良いでしょう。そうなると、他の項目が全国平均で見て高いとはいえ、せいぜい3~4%高い程度になります。

逆に、他の項目で物価が高い県とその水準は、次のようになります。

光熱・水道・・・・・・岩手県(110.2)
家具・家事用品・・・・・・福井県(109.4)
被服及び履物・・・・・・栃木県(111.7)
保険医療・・・・・・群馬県(104.6)
諸雑費・・・・・・長野県(103.5)

「光熱・水道」、「家具・家事用品」、「被服及び履物」が、全国平均から見て10%前後、地方が割高であることが分かります。

地域別の物価格差は意外と小さい

地方別消費者物価地域差指数の総合を見ると、全体的にどの程度の物価格差があるのかが分かります。

北海道・・・・・・98.9
東北・・・・・・99.0
関東・・・・・・102.0
北陸・・・・・・98.6
東海・・・・・・98.4
近畿・・・・・・100.3
中国・・・・・・98.4
四国・・・・・・98.0
九州・・・・・・97.3
沖縄・・・・・・98.4

確かに地方の物価が安いのは分かるのですが、最も高い関東と、最も安い九州で比較しても、その差は4.7程度でしかないのも事実です。

「地方は物価が安いから生活しやすい」という考えで地方移住を決めると、意外と後悔することになるのかも知れません。
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